人権の尊重

多様な文化や考え方を尊重し、人権尊重を推進します

世界各国・日本全国から、さまざまなお客さまを迎え入れる日本空港ビルグループにとって、多様な文化や考え方を尊重するとともに、物販や飲食事業をはじめ、事業全般におけるサプライチェーンを含めた人権を尊重することは重要な責務であります。企業の基盤として、ダイバーシティ&インクルージョンなどの包摂性や人権尊重を推進し、事業活動を進めてまいります。

日本空港ビルグループ人権方針

日本空港ビルグループは、公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う企業グループとしての使命を鑑み、人権の尊重は企業の責務であり、重要な課題であると認識しております。「サステナビリティ基本方針」に則り、人権に配慮しながら誠実かつ公正に事業を遂行するべく、この方針の下、推進体制を構築し、事業活動が影響を及ぼし得るあらゆる人々に対する人権尊重の責任を果たしてまいります。

国連グローバル・コンパクトへの参加

国連グローバル・コンパクトへの参加

当社グループは、2024年8月に「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野で構成される10原則に賛同し、積極的に取り組んでまいります。 世界各国・日本全国からさまざまなお客さまを迎え入れ、公共性の高いターミナルの建設、管理・運営を担う企業グループとして、さらなるサステナビリティの推進と、持続可能な成長のための取り組みを一層強化してまいります。

パートナーシップ構築宣言への賛同

羽田空港の“あるべき姿”を追求します

当社グループは、空港ターミナル運営にあたり、多くの取引先や事業者と協働することから、サプライチェーンの適正管理と公正な調達慣行の推進を目的に、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、当社の「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築を図ってまいります。

人権デューデリジェンスの実施

事業活動における人権の尊重を推進するため、人権・調達に係る方針類を定めるとともに、人権デューデリジェンス(以下、人権DD)を実施しています。課題として取り組む人権上のテーマの決定にあたっては、各分科会での協議に加え、ダイアログを通じた外部有識者からの意見も反映しています。特定した課題については、取り組みを進めるとともに、適宜情報開示を実施しています。

人権DDの実施プロセス

人権DDの実施プロセス

人権DDの進捗

Step 1
人権リスク調査の実施
  • 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」をベースに、事業分野別人権リスクの他、取り扱い産品や営業地域の観点も含め、項目を抽出。
  • お客さまの声、内部通報事例などをもとに、人権リスクとして顕在化する可能性のある事例があるか、事例を早期に把握し是正する仕組みが機能しているか等を調査。
  • 特に人権リスクが高いとされる商材については、当社における取り扱い状況を確認。
Step 2
現状評価と今後のリスク考察
  • 調査結果に関し、人権リスクの深刻度や蓋然性の観点からリスクの重要度を評価し、当社において今後さらに取り組みを深める人権テーマの候補を抽出。
Step 3
有識者ダイアログ実施
  • 人権課題を取り巻く社会の状況、特定プロセスを含めた当社の人権テーマの妥当性、今後の取り組みなどについて、外部有識者とダイアログを実施。
Step 4
人権上のテーマ特定
  • 有識者とのダイアログも反映し、サステナビリティ委員会において、当社が課題として取り組みを進める人権上のテーマを特定。

Step 32023年8月16日開催 有識者ダイアログの様子
外部有識者 HRガバナンス・リーダーズ サステナビリティガバナンス部

課題として取り組む人権上のテーマ

課題1

施設管理運営業に係る協力会社の労働環境の把握

人手不足等が懸念される中、事業の基盤となる施設管理運営業を支える協力会社の労働環境が適切に保たれていることは重要であるため、まず警備・清掃の領域からアンケート等による労働環境の把握を行い、負の影響が確認された場合には低減策を協議します。
2024年度は改善計画に基づき、清掃協力会社2社・警備協力会社2社と面談を行い、雇用管理や労働環境の状況、人権尊重に関する課題認識や改善要望について幅広く対話を行いました。
従業員(派遣社員含む)の労働管理については適正に行われており、酷暑対策をはじめとする労働環境の改善にも継続的に取り組まれていることが確認できた一方、航空旅客の急速な回復による各社の要員増により、施設制約のあるエリアにおいて一部休養スペース等の狭隘化が生じていることが確認されたため、現地の状況をさらに調査の上、緩和策について関係者で検討を行い、改善策を講じました。
対話を通じて課題と対応の方向性が整理できたため、次年度以降は、取引先に対するガイドライン適合調査の結果を踏まえつつ、ほかの警備・清掃協力会社や、新たな対象業務として配送協力会社への調査を、年間数社レベルで継続します。

課題2

物品販売業・飲食業に係る商品のサプライチェーン上の人権リスクの把握

日本の空の玄関口として、提供する商品に係るサプライチェーン上のリスクを低減することは重要であるため、まずは当社オリジナルの服飾製品や直営店で提供するコーヒー等から、優先してアンケート調査や面談によるサプライチェーン上の人権リスクの把握を行い、負の影響が確認された場合には低減策を協議します。
2024年度は改善計画に基づき、紅茶商品における茶葉の仕入企業、カシミア服飾製品の製造会社、コーヒー豆を取り扱う取引先、直営店で販売するカカオの主要な取引先、計6社との対話を行いました。
調査の結果を踏まえ、人権に関わるリスクは適正に管理されていることを確認しました。
今後も定期的に取引先との対話を継続し、サステナブル商材への移行の進捗状況を確認していきます。

継続して取り組むその他の人権に関連するテーマ

2023年度の人権リスク調査においては、リスクの早期把握と改善対応の仕組みが機能していることが確認されているものの、今後の社会環境の変化が人権の負の影響につながることのないよう、継続して注視、対応していく項目として、下記3つの項目を特定しました。

  • 従業員の働きやすい職場環境
    関連部門間の連携を強め、人手不足による特定の資格・スキル保有者への業務集中や、異常気象の激化等による労働環境への影響が生じていないか継続的にモニターし、DX活用による業務効率化などにより、働きやすい環境の維持向上に努めます。また、「コンプライアンス委員会」の管理のもと、コンプライアンス教育の徹底によるハラスメント防止に継続的に取り組むとともに、内部通報制度による事案の把握と把握した事案の早期対応を徹底します。
  • 利用者の個人情報管理
    プライバシーポリシーおよび個人情報管理規程に従い、個人情報管理の徹底を図るとともに、今後のサイバーアタックの高度化・頻発化が、利用者の個人情報漏洩につながることのないよう、「リスク管理委員会」において全社優先リスク項目としてサイバーセキュリティ対策を掲げ、PDCA管理を確実に推進していきます。
  • 多様化する利用者への対応
    関連部門間の連携を強め、アクセシビリティやコミュニケーションの向上など、人権の尊重につながる「お客さまの声」の把握を強化し、社会や利用者の意識やニーズの変化が人権リスクにつながらないよう、先取した対応を推進します。
  • その他
    航空輸送を用いた人身取引については、当社による惹起、助長、直接関与はないが、日本の空の玄関として貢献できる分野がないか、防止に取り組む航空会社など事業パートナーとの連携を推進します。

日本空港ビルグループにおける人権尊重に関する取り組み(詳細版)